第一章 クールダウン

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第一章 クールダウン

蓮はソウの店を出たあと、 駅前まで戻る。 電車の時間までは結構あるので、 マクドに寄って、ホットコーヒーをオーダーした。 カウンター席には、ビジネスマンが多い。 熱いコーヒーを飲みながら、 頭を冷やしていると さっきの自分が 余りに冷静さを書いた態度に思えてくる。 蓮は恥ずかしくなった。 大体岡田に 『ソウと付き合っている。』 と、堂々と言えば良いだけの話を 勝手に嫉妬してこじらせたのは、自分だった。 “ソウにこんなにハマるなんて。” 出会った日は、岡田に失恋したのを 紛らす為に、ちょっと可愛いと思った彼に 手を出しただけだったのに・・・・。 店ではいつも堂々としたプロの顔の彼が、 一度外へ出ると、 おとなしくて儚くて守ってやりたくなる。 あんなにキレイな顔なのに、 自分に自信が持てないソウを 蓮は変えてやりたいと思っていた。 だが、いざ彼が自信を持ったとき 他の男を引き寄せるだろうと言うところまでは 気が回らなかった。 迂闊という他はない。 岡田と一緒にいたソウは、 明らかに、以前の彼とは違っていた。 独特の儚さはあるものの、 妖しい魅力が加わっている。 岡田とソウの二人をあのままにしていたら、 それこそ何かあるのではないか? “まさか・・・・ね。” とは思うものの、 相手が男だと、浮気に入らないと思っている 既婚者も多いのは事実だ。 (実際蓮が寝た相手も、既婚者が多かった。) 岡田を疑うわけではないが、 居ても立ってもいられなくなった蓮は、 飲みかけのコーヒーを飲み干すと 店を出て、ソウの元へ戻る事にした。
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