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そう、先輩の悪癖というか、美味しいものを見つけると仕事中だろうがお構いなしに売店に寄ってテイクアウトをしてくるのだ。
一回なら、まぁボクだってそこまで鬼じゃない。人はご飯を食べなきゃ生きていけない。
「でも、だからって今日だけでもう十軒以上のお店で買ってるんですよ!?」
いま食べているホットドックだけじゃない。フランクフルト、おでん、からあげ、コロッケ、ケバブ、ありとあらゆる売店を一日で網羅してしまうのだ。
おまけに、今日なんてこんな寒い中だというのにアイスクリームまで食べていたのには驚愕した。
「えー、だってお腹すいちゃうんだもん」
燃費がどれだけ悪いんだ、この人は……。
「限度があるでしょ、限度が……」
はぁ……とため息をつくボクに、しかし彼女はトコトコとボクに近づいてきて立ち止まる。
「もう、そんなに言うなら仕方ないなー、はい」
すっ、と先輩がボクの前に手を差し伸べる。
いや、もっと正確に言うならば、彼女の持っていたホットドックをボクの前に差し出してきた。
「特別だよ、半分あげる」
にこっ、と微笑む彼女の純真無垢な態度に、ボクの体温がグッと上がってしまう。
「どうしたの?」
「い、いえ……そうですね、そこまで言うなら、頂きます」
「うん、召し上がれ~」
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