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もしかすると、俺がやっていることは、『そういうこと』なのではないのか?
描ければ、もう死んでもいいと思えるような『何か』を探し続ける。
つまり、俺はあがけばあがくほどに、死に向かって走ることになっているのではないか?
上等である。
俺は走り出した。
山に登り、滝を這いあがり、海に潜り、火事場を走り抜け、震災の跡地を歩く。
だが、駄目だった。
いよいよ人が死ぬ瞬間を見なくてはならないのか、とぼんやりと考えたが、それは最初から論外だと気がつく。
なにしろ、両親が病気で他界する場面も見ているし、ネットでその手の動画は結構見ている。大学前で轢き逃げがあった時には、現場に出くわした上に、救急車を呼んだ。辺り一面血だらけで、轢かれた女性はその場でゆっくり死んでいった。
それを描きたいとは、頭の隅にも浮かばなかったのである。
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