後半

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 酷い目にあうのは望まない。ただ、酷い目にあって、目指すものに出会えるのは望む。  占い師は困ったな、という顔をした。いや、面倒だな、という顔か。  占い師はその後も、人類愛だとか、隣人愛だとか、あなたは運勢が強いから、土壇場で実力を発揮する、とか耳に優しい事を色々喋っていたが、俺の呆れた顔を見て話を切り上げた。    ちょうど三十分経ったからかもしれないが。  俺は礼を言って、席を立とうとした。  今から、恋人を作らなければならない。そういう考え方自体に、もう愛が無い気がするが、まあともかく、やるだけやって――  占い師は、「ちょっと、お待ちください」と手を挙げた。 「これを忘れておりました。どうでしょうか、気分転換になりますよ。もしかしたら刺激を受けて全てが解決するかもしれませんよ」  そう言って、俺に渡したのは、新しくできた、あのレストランのチラシだった。  レストランの名前は忘れた。仏語かイタリア語らしいが、長すぎて覚えていない。  半地下で、最近できたばかりだから、外も中も綺麗だ。昼にはまだ早い時間だったのに、ホールは、ほぼ満席だった。  メニューを見ると、料理の値段は手ごろだが、イベント代を別途で取られるらしい。     
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