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雨の日の水曜日
僕 立花皐月は、一応進学校と言われる高校に通う高校3年生である。
女の子みたいな名前は、はっきり言って嫌いだ。両親は女の子が欲しかったらしく僕に皐月と名付けた。
そして僕が10才のころ、妹が産まれると両親の愛情は妹に移った。
僕は、決して両親のことがイヤになったわけではないが、高校は県外の難関校を受験し合格後家を出た。幸い我が家は少し裕福なこともあり両親はすんなりと一人暮らしを了承してくれた。
高校生活は十二分に楽しいものだった。仲の良い友人も出来たし、まぁ名前のことで弄られるのは多々あるが、バイトも始めある程度余裕も出てきた。
そして今、僕は学校からの帰り道、少し遠回りをして帰宅する途中だ。
毎週水曜日だけ、僕の唯一の楽しみ。
僕の住むハイツがある駅近くではなく駅の反対側にある大きな公園。
水曜日の夕方5時30分頃。
公園の中央にある大きな噴水、取り囲むように並んだベンチの定位置。
いつもの場所に、腰掛けて通学カバンから参考書を取り出し読んでいるふりをする。
来た。
夕焼けが眩しい中、彼女が歩いてくる。
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