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「むぐむぐ……。ええ、この皮がなんともカリカリで……」
「機嫌、直した?」
「む、ぐ……」フレイは口に含んでいた肉をゆっくり飲み込む。
「本来はもっと安全な作戦でしたよね」
「……はい」
「別に腹部に潜り込む必要なんてなかったですよね」
「ごもっとも」
「……弁明は」
「ありません」
フレイは「もう」っと嘆息すると、「これからはあんなことしないでください」吐き捨てるように言った。
「楽しそうで素敵だと思ったけどね。私は」
リュウの背中にディが張り付く。胸のふくらみがぐにゅっという音が聞こえそうなほど形を変えた。そのまま耳に唇を吐息まで聞こえるほど近づける。くすぐるような声色で小さく笑う。
「好きだよ、ああいうの」
ガリ。
キョウは思わず串ごと噛み砕く。
(ぬぅ。また、あんなに……これだけは慣れないな。私以外の女の人が、私よりお兄ちゃんのそばにいるなんて。まるでハーレムじゃないか)
口から串を出す。ねっとりとした唾に紅いものが混じっていた。
(でも、慣れたらきっと、もっと辛い)
思わずため息を吐いてしまう。ふと兄を見ると、彼は心配そうな――しかし背にディを引っ付けながら――目を向けていた。
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