プロローグ

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                                                              「その、害獣? ってそんなに強いの?」   三人の様子をずっと後ろで伺っていたキョウは、駆け足で三人を追い抜くと、くるりと振り返って訊ねた。 「レブルニーの駐屯の騎士団では太刀打ちできないぐらいには、ね」フレイが答えた。   その立地の良さから軍馬の放牧所や繁殖施設もあるため、近隣を警護する騎士の質は他の地方都市と比べると高い。その証拠に草原一帯における野獣や魔獣など害獣による被害報告はほぼなく、それらを見かけることすら稀だ。   だがある日、騎士団は森の近くで奇怪で巨大な獣が出没するとの知らせを受けた。 エルスフィアの森はマナ濃度がとても高く、魔獣はおろか木々までマナの影響で蠢くこともあり、人間が長くいると魔獣になる恐れもさえあり、さらにはそういった土地には神様や精霊の類が往々にして存在するため木々を伐採するといった人間的人海戦術すらかなわず、騎士団は森の前で野営をし、その獣が現れる時を待ち受けた。     
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