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そして、その時が来た。騎士団は1ロムフィン(約3.1m)に及ぶ獣と相見えた。五十人ほどの騎士たちは弓と槍で必死に奮闘した。
しかし、その一匹の巨獣を討伐には至らなかった。騎士団は辟易した。
不思議なことに獣は時折森から突然現れ、奔走するが、すぐにまた森へと帰っていく。こちらから危害を加えない限りなにかこれといって被害が出たりはしていない。
だが突然町村が出てからでは遅いため、レブルニー自治区の騎士団は、近隣住民に避難勧告を出し、獣の討伐に褒賞を掛けた。こういうものは、こういうもののプロに任せようと。
一行は、その討伐に赴いたのである。
「でもあれだけの褒賞だったのに他に倒しもいないんだね。ハンターとか狩人とか魔術師とか」
キョウの疑問にディが答える。
「レブルニーが一番近い街だったからじゃないかしら。あそこの住人は基本的に非戦闘員みたいな人が多いし。もちろん騎士団がやられたっていう情報に怖がっているっていうのもあるかもしれないけどね」
「なるほど」
リュウが口を開く。
「まあ、大丈夫さ、みんながいれば」
(ほへぇ、素敵)
天頂で輝く太陽に刀を突き立てた兄の表情は自信に満ちていた。
「さすがリュウくん?」
「なな、ななな……!」
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