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『E5。敵艦エリア侵入を確認。攻撃を開始する。』
『了解。E5攻撃を許可する。』
『E5了解。』
ドガガガガガガ!!!
無機質な指令に従い、引き金を引く。瞬間、海に浮かぶ敵艦は空からの攻撃によって、水飛沫とともに大きく揺れる。
ボンッ!ドカンッ!!
『E5敵艦エンジン部分引火確認。沈没まであと約200秒。』
『E5了解。本部へ帰還せよ。』
『E5了解。』
機械越しの命令に従い、敵艦に背を向ける。耳をすますと敵艦から悲鳴が聞こえた。しかし、そんな声なんだというのだ?
「E5ただいま帰還いたしました。」
本部へ戻り、まずは司令官室へ向かう。今日の戦闘の報告だ。
「ご苦労。ところで今日から君に依頼したい仕事がある。」
?
「入れ。」
司令官の一言で、背後の扉が開く。そこには司令官の部下と、10歳ほどの俺と同じぐらいの子供が立っていた。
「彼女の名前はツェア。君と同じ10歳の女の子だ。今日から君にはこの子の世話係になってもらう。しかし彼女を戦闘員にする必要はない。あくまでも世話係だ。わかったな。」
「了解しました。」
念を押されたとしても、否定する理由もない。そもそも否定することなどできない。俺たちはそういう風に作られているのだから。
「わかったら行け。今日から君の部屋はツェアと共にAの111を使え。」
これには少し驚いた。Aに住めるのは、軍の中でも最高幹部の一握りだけだ。
「了解しました。失礼いたします。」
頭を下げて扉の横に立っているツェアを連れて廊下へ。そのまま無言で歩き、新たに指示された部屋へ向かう。ツェアも後ろからついてきているようだ。何も話していないのについてくるということは、予め何かしらの説明がツェアにもあったということだろう。司令官室から約5分。目的の部屋に着く。扉を開けると、すでに俺の荷物も運ばれているらしく、部屋の中央に荷物が山積みにされていた。荷物といっても、軍の制服二着と部屋着二着、あとは少しの生活用品だけだが…。しかし二人分の荷物にしては、やけに少ない…。というか俺の荷物しかない。ツェアの荷物は、と思い辺りを見渡すが見当たらない。一体…ふとツェアを見ると彼女はじっと俺を見ていた。見ていたというより、睨んでいる?そして唐突に、
「あなた人間じゃないって本当?」
と質問された。
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