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ツェアはしばらくぼーとベッドに腰掛けていたが、俺が部屋着に着替え、もう一つのベッドに入ると、
急に俺のベッドに潜り込んできた。そして俺の背中に張り付く。
「ここでねちゃだめ?」
ツェアがきく。別に不自由なことはない。ベッドだって俺が3人寝ても余裕があるほど大きい。
「ああ。」
そう返事をし、ベッド横のタブレットで部屋の電気を消す。そして俺は目をつぶった。
ベッドの上の窓から差し込む朝日で目がさめる。
いつもより高い天井、厚い毛布、そして、背中に感じる体温。首を回すと、すやすや寝息を立てるツェアが寝ていた。思えば、宿舎では他の戦闘員と寝ていたが全員男だった。一緒のベッドという事もなかったし。ゆっくり起き上がりベッドから出る。ツェアの温度がなくなっていく。そのまま部屋の真ん中の荷物の山から軍の制服を取り出して着替える。今日は別に休みだが、これ以外には部屋着しか持っていないのだから仕方がない。それに休みだからといって、命令があれば行かなければならない。
「ん…。んー…。」
唸りながら目を開けるツェア。どうやら目が覚めたようだ。
「おはようツェア。」
一応声をかける。うにゃむにゃと謎の言語を発しながら起き上がった。
「おはよう…。」
そういえば、ツェアの服がない。今彼女は長袖で膝丈の白いワンピースを身につけているが、なにかしらの服は必要だろう。
「ねぇねぇ。」
「ん。」
いつのまにか起き上がったツェアが目の前に来る。
「私服ない。」
思考を読まれた?わけはないな。
「ああ。」
「服欲しい。」
「ああ。」
「どこでもらえるの?」
「もらえない。街で買うしかない。」
「街って?」
「街は…。」
…。
「こういうのは行ってみたほうが早い。行く道すがらツェアのことを聞かせてくれ。」
「わかった!早く早く!」
言うが早いか廊下へ飛び出そうとするツェア。よほど楽しみなようだが、扉に手をかけたままじっとこっちを見ている。どうしたのか…?
「どうした?」
「早くこっち来てよ。」
あ、はい。ゆっくり扉に向かうとツェアは待ちきれないように俺の手を取り、部屋から出た。
この部屋は3階に位置する場所にあるので、まずはツェアを引き連れ1階へ向かう。ツェアは、見る者全てが新しいのか、キョロキョロと忙しなくあたりを見ていた。一階にある購買部で金を下ろす。
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