第一章 挫折

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第一章 挫折

岡田キョウコは、大阪の大学に通いながら ダブルスクールでメイクの専門学校に通い、 大学卒業の半年前に、専門学校の課程を終えていた。 メイクの仕事がしたいと考えたきっかけは、 20歳の時、兄夫婦に結婚式をプレゼントした事。 予算の都合上、 見よう見まねで兄嫁に施したメイクが、 義姉を美しく変えた事に、キョウコは感動した。 それ以来メイクの魅力に取り憑かれ、 作品作りに取り組み、 全国で数人の研修生にも選ばれた。 それはダブルスクール生の中では、 別格ともいえる抜擢だった。 就職活動の際、卒業した専門学校の講師に誘われたが、 彼女は、一般の女性を美しくする仕事がしたいと思っていた。 モデルは元々綺麗。 だけど街を行く女性たちだって もっと綺麗になれるはずだと。 だが、就職活動で 数々の化粧品会社の面接を受ける中、 彼女は当初の目的を見失いつつあった。 「貴女ほどの顔なら、 美容部員ではなくモデルの方がいいんじゃない?」 彼女の腕を見る以前に、 飛びぬけたルックスが邪魔をする。 大学2年の時にミスに選ばれ、 将来は女子アナか?と騒がれた外見は、 一般的な仕事では、邪魔扱いされるのだろうか。 「もう少し、親しみのある見た目だといいよね。 うちのイメージには合わない。」 そんな台詞で数十件面接を断られ、 キョウコは落ち込んでいた。
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