第二章 ダリヤ化粧品店

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第二章 ダリヤ化粧品店

今、キョウコは卒業旅行で 彼氏の岩男徹也と東京に来ている。 彼は別に用事があり、彼女は一日フリーだった。 キョウコはふと電車を乗り継ぎ、 蒲田の町に降り立った。 別に、蒲田じゃなくても良かった。 ただ、知らない町を歩きたかっただけだ。 大阪の地元とは違い、商店街が活気付いている。 ドラッグストアも数軒あるが、 キョウコはその並びに 一つの化粧品店を見つけた。 『ダリヤ化粧品店』 モダンな看板が時代を感じさせる。 中を覗くと、看板に見合った上品な老婦人と目が合った。 グレイヘアをアップにしている彼女は、 姿勢を正しているが、キョウコに気付くと 彼女に向かって笑いかける。 キョウコは吸い込まれるように中に入り、 彼女が促すまま腰掛けた。
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