序章「終わる箱庭」

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魔剣ルールブレイカーはノーマンの目の前へと伸ばされていた。しかし、向けられた男は薄い笑みを浮かべ、マシアを見上げた。 「斬る、抜剣」 ガチャリと重い一踏みに反してマシアの巨体をノーマンの懐に飛び込ませて行く。ルールブレイカーの一太刀は異様な物を貫いていた。その剣先絡み付いていたのは黄竜の首から生えた触手、内臓器に近い代物であった。グシャグシャと紫色の液体が鎧に飛び散る。そして、鼻に突く異臭が判断を遅らせた。 「甘いな、魔剣士!」 ノーマンの変わり果てた右腕がマシアの黒い鎧を汚して行く。殴打されると同時に、黄竜の顔面を振り回して兜へと殴り込む。骨が砕ける音が脳内に響き、気が狂いそうになる。膝を着いた所でノーマンがまた嫌な笑みを浮かべる。 「頭の使いかたすら分からなくなっているのか、屍人よ」 「使い方くらいしっているさ、こうだろ?」 【オブジェクトコール・リンクコネクト・アンデッドディメンジョン】 ノーマンのスキルが発動すると、黄竜の首から伸びた内臓器がウネウネと液を撒き散らしながら何かの形を作り上げて行く。 「貴様、黄竜を復元したのか」 「そうだな死骸を操るのは得意だからな、結構上手くできたぞ」 「滅殺!」 「遅いよ、私は黄竜をにしているのだよ。マシアぁ」 黄竜の復元された亡骸は空気を断層させる、角端の能力を既に発動されていた。マシアの腕が身体から分断される。鮮血は両者の間に弾き出された。 「ちぃ!」 ルールブレイカーを持つ腕がごとりと地面に転がった。 「楽しいな、楽しいなマシアぁ!!」 「ノーマン!!」 黒い魔剣士と黄竜を手中に収めたノーマンがハコの中心で殺意と狂乱を叫んだ。
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