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今日はみんなでファストフードを食べに行こうと、菜草が切り出していた。いつも菜草に気を使ってくれる光希。本が好きで頭も良くて、同い年なのにお姉さんみたいでついつい甘えてしまう。何より体もプニプニしていて気持ちがいいのだ。
菜草はそんなプニプニの膝の上で覚醒する事になる。
「ごめんなさい、光希ちゃん。寝てたよー」
部屋の窓から吹き込む風に乗せられ光希の甘い香りが向かってきた。
「大丈夫だよー、菜草ちゃんの髪サラサラで気持ち良いから、ずっと膝の上に置いておきたいよ」
「えー、ホント!じゃあもう一回寝て良いかな?」
「ちょっと、それはダメだよー、ハンバーガー食べに行くんでしょ?そろそろ起きないと」
光希が優しく頭を撫でてくれる。どうしようもなく甘えたくなる、これが母性なのかと感じて止まない。
「えへへー、そうでした。あ、光希ちゃんまた本読んでたの?また同じやつかな?」
「うん、そうだよ『箱庭世界異聞録』ってゆう小説だよ」
「へー、面白いんだ」
「そうねー、ファンタジー系なんだけどね、物語が進んで行くうちにだんだんSF要素が強くなっていてね、複雑な因果関係やら何やらが多くてね」
いつもおっとりしている光希は好きな物を語る際に、格段にヘイスト能力が高まり、他者を圧倒して行く特技のようなものがあった。菜草もそれを発動してしまい、流石に不味いと思い、他の話題を必死に探した。
「へぇ、面白いんだね。分かったよ」
「ちょっと、まだ何も語ってないんですけど!」
「熱量は伝わったよ、ありがとう光希」
「もう、良いわ。天音ちゃんに本の話するから」
菜草は心の中で天音に謝る事とした。天音にとっては菜草以上に本の話には無頓着であり、目が点になってしまう事くらい目に見えていたのだから。
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