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切り刻まれた学校指定のローファー、もはや指定された原型を留めていないが、ロボットの様に感情を殺した彼女は静かに下校する。なぜ地方の学校でイジメが続くのか、大よそ検討はついていた。
アパートの階段の手すりに手を掛けた時、一階の住人、ここを仕切っている様な恰幅の良い女性が現れた。
「あんた、また部屋の前にゴミ散らかしちゃって、臭いのよ!何とかしなさいよ」
「あ、はい、ごめんなさい」
彼女、家城光希は平謝りする、その瞳には輝きや希望の光の光沢は一切無い。まるで屍。その女性も彼女が捨てたゴミではないと判断できているのだ。ただ、ここから追い出したいだけなのかもしれない。
そして、確かに茶色く濁ったスーパーのビニール袋が大きく丸まった個体数がいくつかあった。どれも腐っているモノが混入され異臭を放っている。光希はため息もつかずに、とりあえず部屋の中にゴミを引きずり入れた。
バタン
静かな部屋に異臭が少しずつ充満していく、そして彼女は今は鳴らなくなったスマートフォンを手に取り、待ち受け画面を見て大粒の涙を溢すのであった。
「会いたいよ、菜草ちゃん。天音ちゃん。私、どうしよう・・・」
すぐに涙で視界が奪われ、その場で泣き崩れてしまっていた。彼女は号泣する。ひたすら悲しみの涙と後悔の涙を混じらせながら、まだ少し明るい窓からの光を浴び、今の状況に屈服していった。
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