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「私なりに犯人のプロファイリングをしてみました。生首をちゃんと冷凍保存していたこと、同種の猫ではなく、多様な柄の猫を用意したこと。そして、わざわざ喜怒哀楽を彷彿とさせる表情のまま、猫を殺害したこと。以上のことから、犯行は猫自体を憎んだ突発的なものではなく、ある種の芸術性といいますか、犯人の強いこだわりが感じられます。犯人の現代社会に対する主張も垣間見られ、単なる愉快犯による犯行で片づけてはいけないと、私は思いますねえ」
苦々しい顔でそれを聞いていたご意見番の年配の女タレントは、声を荒げた。
「あなたねえ、芸術性だとか社会への主張とか言ってますけどねえ、この極悪犯にそんな高尚なものなんてないですよ! ただの頭のおかしい輩の犯行なんですよ。ぜひとも、こんな奴は極刑に処してほしいですわ!」
アナウンサーは半笑いで、指摘する。
「それは極端でして……。今回のケースですと、動物愛護法により、『二年以下の懲役または二百万円以下の罰金』が適応されますね」
女タレントは、顔に塗りたくった真っ白な化粧を帳消しにする勢いで、真っ赤になった。
「私はねえ! そんな法律の話をしているんじゃないの! 普通の人が抱く感情の話をしているのよ。犯人は死刑よ! 死刑! 死――」
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