1話(完結)

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 人間に対してもpingコマンドで応答確認ができれば良いのに,とぼんやり考えたところで,思いつくことがあった.入力したIPアドレスにミスがあったのではないか.再度IPアドレスを打ち込み,実行キーを押す.結果は変わらず,通常通り応答が返ってくることを示す結果が表示されるのみ.  やはりダメか.一度伸びをし,再び画面を眺める.そこで初歩的なミスに気づく. $ ping 1992.2.13 1992.2.13からの応答:バイト数=32 時間 <1ms TTL=128ms     : 入力したつもりだった192.0.2.13が、誤って「1992.2.13」となっている.ただ不思議なのは,それでも応答があることだ.そもそも1992.2.13なるIPアドレスは存在しないため,実行キーを押した時点でエラーメッセージが表示されるはずだ.  末尾を変更し,ping 1992.2.14とした上で実行しても応答が返ってくる.ありえない,と思いつつも自分はこの現象に興味を惹かれていた.奇しくも誤って入力した1992.2.13,すなわち1992年2月13日は自身の誕生日だ. 1992.2.13に続けて1992.2.12を入力する…応答なし 1993.2.13を入力…応答あり 1991.2.13を入力…応答なし      :  色々な日付を入力した結果分かったのは,誕生日である1992.2.13より前の日付では応答がなく,それ以降の日付では応答があること.     
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