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玖晶の仕事は本来とある私塾の助手であった。授業中の生徒たちの監督や雑用、また内々の手伝いをすることを条件に、朝昼晩の食事と寝る場所を得ていた。
当初は小遣い銭程度の賃金も出ていたが、つい最近状況が大きく変わってしまった。近所に新しい私塾が開かれたのだ。新しい塾の教師はある程度名の通った人物だったため、元々さほど多くはなかった此方の生徒たちがごっそりと移動してしまった。現在残っているのは十人に満たない。こうなると内情はかなり厳しくなった。
ある日、塾長と奥方に呼ばれて「君をこれ以上ここに置いておくのは難しい」と告げられた。
玖晶は困ってしまった。元々この辺に頼りになる身内も知人もないときたものだから、ここを追い出されたら、何処にも行くあてがない。よそに住まいを探して借りる金もない。給金はいらない、塾の手伝いを続ける、多少の食費を収めるのでこれまで通り置いて貰えないか、と頼み込んで何とか了解を得た。
取りあえず、昼からの空き時間で何かすることにして、近隣の顔馴染みの店に声をかけ、あるいはその伝で代筆なり使い走りなり雑事全般頼みごとがあれば引き受けることにした。
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