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 いつも通り二人で図書館にこもり、文字通り朝から晩まで作詞をしておりました。 図書館の職員に声をかけられた時には、私は何とか書き上げたのですが、相手の方は滞っていたので、家でビールでも飲んで気楽に話しながら書こうと誘いました。  コンビニでビールとおつまみを買い、家の鍵を開け、二人で飲みながら仕上げました。翌朝、どうやら私は眠っていたようで起きたときには既に相手はおりませんでした。丸テーブルにはお礼と完成したという置手紙があって、ちゃんと鍵も閉めてくれていたので、私は嬉しく思いました。  そして、月日は流れ――雑誌の最後に結果が書かれるのを知っているので、私は家で一人それを開けました。残念ながら私は落選したのですが、 相手が最優秀賞を受賞し、作詞家としてのデビューが綴られていました。 SNSですぐに祝福の言葉を送りました。返事が返ってきました。 「ありがとう!! あなたのおかげよ。本当にありがとう!」 心が温かくなりました。  数ヵ月後、相手のデビュー作品がプロの歌手に歌われた動画の配信が開始され、私は驚きました。何しろ私はそのことを知らず、全くの偶然で見つけたのでした。いいえ、それだけではありません。私が応募作品として書いたものを瓜二つだったのです。ところどころ違う個所はあるものの、それは確かに私が大切に大切に書いていたものでした。 すぐに相手に問いました。返事が返ってきました。 「見てくれたんだ、ありがとう! 歌手の方も会社の方も、とっても褒めてくれたわ。やっぱりあなたのおかげよ、ありがとう!」 ……ア・ナ・タ・ノ・オ・カ・ゲ――。 何もわからなくなりました。
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