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何とか時間を作ってもらい、私の家に来てもらいました。 「ねぇ、どういうことなの、あれ」 「別に丸パクはしてないわ」 「それでもひどいよ。なんであんなことーー」 「どうだっていいじゃない、もう終わったことよ」 「……お願い、返して。あれは私にとって大切な思いなの!」 「もう世に出回ったし、返せと言われて返すもんじゃないでしょ」 「じゃあせめて、会社の人達に話をーー」 「話したところでどうなるの。誰があなたの言うことなんて信じるのかしら。それに、会社に自分でイメージを悪くしに行くなんて自殺行為よ。もう二度と審査してくれないかもね」 「そ、それは……。ーーでもっ!」 「それに、あなたにはそんなことよりも為すべきことがあるわ」 「為すべきこと……?」 「私の後ろで作詞をするのよ!デビューは出来なかったけど、これからもあなたは作詞ができる!これって、とっても良いことじゃない!」 「……そんな…………」 「そう言うことだから、また様子見にくるからお願いね」 勝者の笑みを浮かべた相手は、鍵をちらつかせて、出て行った。 私はただ呆然としていてーーあるものが芽生えた。
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