第1章 今時の若者

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こんな残業に捕まるなんて、運が悪い。 もっと、『企画が明日までで~。』とか、『あの人のミス、フォローしなきゃいけないんで。』とか言って、ペロッと舌でも出したい。 なのに、私のミスで押している仕事なんて! 「丁寧に入れろよ。誰の手に渡るか、分からないんだからな。」 「はい。」 そう言う外川課長は、次々と資料を袋の中に入れて行く。 はっきり言って、手慣れている。 「課長は、こういう仕事、好きなんですか?」 私は、何気に尋ねた。 「あっ、今この仕事を馬鹿にしただろ。」 「えっ!?いやっ!?」 「こんな地味な作業でもな、成約に繋がる事があるんだよ。」 「……そうなんですか?」 結局、好きなのか嫌いなのか、分からないまま、作業は進んでいく。
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