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この学校を仕切ってるのはセンコーじゃない。俺だ。“爆憐グール”トップの小森瑛人だ。喧嘩じゃ負けたことなどない。高一で、当時この学校を支配していた三年生のグループを倒して旗揚げし一躍番長になった男。それが自分である。なんでそんな男が、綺麗事しか言わない教師の言うことなど聴くのか。むしろ、なぜ言うことを聞かせられると思ったのだろう、こいつは。余計な説教などしなければ、溶かされることもなかったのだろうに。
「――――――」
「――っ!――――……」
「――――――?――――――――――――――――――――――――??」
「――……!」
「……――!――!!」
ざわざわ。
ざわさわ。
溶けた人間を見て恐ろしかったのか、それとも現実感がなくて唖然としているのか。こちらを見て適当なことばかりくっちゃべる人の並。奴等の言葉などいちいち拾ってやる価値もないが、意味のわからぬ羅列がひたすら流れてくるのも億劫だ。
「見てんじゃねーよ、ゴラ!見せもんじゃねぇぞ!!」
「きゃっ!!」
思わず一人の女生徒の肩に手があたった。つんのめった少女は、不快そうに俺の方を睨んでくる。この俺にガンつけるなんていい度胸だ。お前も消えたいならお望み通りにしてやろうか。
「ぐナ……べぶぅ…………!」
何かを言いかけた女生徒の口が歪み、唇からは唾液の代わりに溶けた肉の混合物が垂れた。でろり、と顔面が崩壊し長い髪の毛がずるりと頭蓋を滑り落ちる。ごろん、と溶けかけた首が落ちていくのを見た。ざまあみろ、俺にガンつける奴が悪いのだ。
「――……」
「――――――――――――!――――――――――――!!」
「…………――?」
「――――……。……――――――?」
「――!――――??」
ああ、煩い。
煩い煩い煩い。
誰もいないところへ行きたい。気分が悪い。屋上――屋上に行くのがいいだろう。あそこなら人なんて来ないはずだから。
――階段……めんどくせえ。
思った瞬間、階段が溶ける。失敗した。俺の力は強くなっていたらしい。まさか階段まで溶け始めるとは思わなかった。俺は手摺にしがみつき、どうにか溶けかけた階段に足を滑らせながらも上へ上る。しまった。これならば溶かさない方がよほど簡単だったというのに。
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