第二章

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  「椅子に触れた私の剣は砕けたのに、直後に触れた私の指は破壊されなかった。これはつまり、剣を砕いたその直後に、椅子を強化していた貴方の能力が解除された、ということです。この状況で能力を解除したのなら、当然、その能力を自らの身体に使って直接私の首を取りに来るでしょう」 「ほう。素晴らしい推理力だな。だが、重ねて言うがこれは単純なる『強化』ではない。我が能力は、謂うなれば『絶対』を授ける力だ」  青年の言葉に、アイリスが目を細める。 「『絶対』……、つまり、絶対に破壊出来なくなるとか、そういう能力ですか」 「それも、少し違うだろうな。我が能力たる『絶対』は、対象を絶対不変なるものへと定義する力なのだ」 「……?」  その言葉の意味が理解出来ず、心中で首を傾ぐ少女。そんな彼女に、今度は使用人たる女性が口を開く。  
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