第二章

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  「要約しますに、我が主の能力で『絶対』の力を会得した物体に対しては、如何なる攻撃も防御も無意味となる、ということで御座います。対象となった物体の、『全ての情報』は、如何なる改変も不可能となるのです」 「改変が、出来ない……。でも、そこの魔王は先程、あの椅子を蹴り上げていましたよね」 「重量も物体の情報の一つで御座いますので、先程の主のように蹴り上げることは可能ですよ。床に固定でもされていない限り、その位置から動かせない、という絶対条件は与えられません。そして、地を離れた物体が重力に逆らえず、落下することもまた道理であり、確定した情報。如何なる手段を以てしても、それを妨げることは不可能で御座います」 「…………」  理解出来たのか、それとも未だ納得がいかないのか、アイリスは腕を組んだままその口許に手を添える。  そんな彼女の姿に見下すような視線を送りながら、今度は魔王たる青年が問う。  
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