第二章

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  「貴様の能力も、単純なる強化能力ではなかろう?」 「……!」  驚愕を露にするアイリスに、青年は呆れたような表情を浮かべる。 「何故解ったのか、とでも言いたげな顔だが、それで隠しているつもりだったのか? ただの人間が、あれ程の速さで動ける筈がなかろう」 「……能力ではなく、強化の法術を使用しているという可能性もあるでしょう」  少しだけ悔しそうな顔を見せながら、アイリスがそう溢す。それが自白に等しい発言であるという自覚は無さそうだ。 「我等魔物との戦闘の中で法術に目覚めた貴様ら人間は、元より法術を扱っていた我等とは違い、法術を発動する際に何らかの『発動反応』が起こるものだろう」  確かに、法術による肉体の強化を行った場合、ほんの一瞬ではあるが、強化する部位が淡い光を放つ。無論、アイリスのそれは法術の類ではないため、その光が見られなかったのだ。  
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