第二章

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  「……先刻も言いましたが、此処は貴方の城ではないでしょう。何より、空の孔からこの世界に侵攻してきた貴殿方に、無断で侵入したことを咎められる筋合いはありません」 「ふむ、世界を自分のものだと考えるとは、傲慢だな。如何にも人間らしい、都合の良い考え方だ」 「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。貴方だって、勝手に住んでいるこの城を、自分の邸宅と考えているでしょう」  平静を装うアイリスだが、その眉間には一筋の皺が刻まれている。それに気付いているのか、いないのか、魔王たる青年は更に彼女の感情を逆撫でする言葉を紡いだ。 「この城程度ならば、まだ可愛いものだろう。貴様ら人間は、この世界に住まう人間以外の全ての命すらも自分達のものと考えているではないか。自然の中に生きる動物や植物の類を育て、そして殺す。悍ましき行為だとは思わぬのか?」  青年の問いに、アイリスは一瞬だけ視線を落としたが、直ぐに青年を睨め付け、言葉を返す。  
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