第二章

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  「私の育った修道院などでは、猫を何匹か飼っていましたよ。一緒に遊んで、一緒に食事をして、一緒に寝て……。皆が家族のように愛していました」  自慢気にそう話すアイリスに、青年はやはり理解出来ないとでも言うように首を傾げる。 「弱者を労っていた、ということか?」  その言葉に、それまでうっとりとした顔をしていたアイリスが、途端にむっとした表情を浮かべた。 「あの子達を弱者などとは、一度も思ったことがないです。悲しい時も、寂しい時も、いつも一緒にいてくれて、愛らしい鳴き声で私を癒してくれて、皆を笑顔にしてくれる。私にとって、あの子達は可愛い弟や妹のようなものです」 「しかし、それは猫、なのだろう?」 「種族など関係ないでしょう」 「…………」  遂には首を傾げたままに黙り込む魔王。その様子に、アイリスは僅かばかりの優越感を得る。  
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