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「貴様が眠っている間、ずっと考えていたのだ。如何にして貴様の承諾を得るかを、な。そうして考えている内に、ふと、『使い魔の誓い』を思い出した」
その聞き慣れぬ言葉に、少女は首を傾ぐ。
「使い魔の誓い?」
「我が使用人の言ったことを覚えているか? 人間が愛玩のために使役する動物は、我々で言うところの使い魔と同じようなものだ、と……」
それは、愛玩動物というものを理解出来なかった青年に対し、使用人の女性が発した言葉だ。
「一部の知性を持った魔物は、法術を用いて異界より使い魔を召喚し、互いに誓いを立てて契約を結ぶのだ。誓いの内容は、喚び出した使い魔の位相によって、また、召喚者の目的によっても変化する」
「つまり、契約を結んで使い魔を使役するためには、互いに納得出来る誓いを立てなければならない、ということね」
「その通りだ」
そう言って深く頷く青年を前に、アイリスは自らの口許に手を添え、更に思案を巡らせる。
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