第四章

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   要するに、彼はアイリスを愛玩動物とするために、その『使い魔の誓い』と同様の主従契約を結びたい、ということなのだろう。  無論、そのためには、互いに納得出来る『誓い』を立てる必要がある。  青年がアイリスに求める誓いは、言わずもがな、彼女が青年の愛玩動物となることだ。つまり、彼女がそれを喜んで了承するような誓いを、彼は提示しなければならない。 「……私は、貴方を打倒するために此処へとやって来たのよ。敗けたからといって、貴方の愛玩動物になるなんて有り得ないわ。例え貴方がどんな誓いを立てようとも、私はそれを誓わない」  断言してみせるアイリスを前に、青年がぽつりと「察しがいいな」、と溢す。『使い魔の誓い』の話をしただけで、彼女がその狙いを察することが出来るとは、微塵も思っていなかったようだ。 「まあ、兎に角、我の話を聞いてくれ。我の愛玩動物となるか、或いは再び我と敵対するか。その判断は、話を聞いた後でも遅くはなかろう?」  その言葉に、アイリスが深い溜め息を吐き出した。  
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