第四章

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   しかし、実際に彼が従えている者と言えば、彼の身の回りの世話を担当していると思われる使用人の女性ただ一人だ。  その彼女も、青年が魔王と呼称されていたことを知らなかった。恐らく、ラダムントが訪れた際、彼女は未だこの城には居なかったのだろう。  つまり、ラダムントは従者の一人も居ないこの青年を見て、彼を魔物の王と呼称したことになる。  しかし、一体何故。アイリスの抱いたそんな疑問に、青年が答える。 「ラダムントが、我を魔王と呼んだ理由……。それは我が、我が『絶対』の能力によって一部の魔物を強化しているからだ」 「……他の魔物に貴方の能力を付与している、ということですか?」 「その通りだ。貴様はその身を以て経験したから解るだろうが、絶対の能力を付与された物体は、この世で最も完全なる物体と成る。それが生物であるならば、『最強の存在』と成り得る。何人たりともその攻撃を防ぐことは出来ず、また、如何なる攻撃もそれを傷付けることは叶わぬ。正しく、最強であろう?」  
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