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その『最強の存在』と相対する様を想像してしまったのだろう。少女は何も答えぬまま、ごくり、と生唾を飲み込む。
「その多くが名を持たず、また、『魔物』という総称すらも無かった我等が、初めてこの世界に降り立った時……知性を持たぬ殆どの魔物は、直ぐに近隣の街を襲いに行った。しかし、我を含めた一部の知性を持った魔物達は、同じく知性を持った原住民たる人間の力を見極めるべく、『扉』の直下へと残った」
「『扉』……?」
小さな声でそう溢すアイリスに、直ぐ様使用人の女性が耳打ちした。
「私達の世界とこの世界とを繋ぐ、あの天の孔のことで御座います。私達は、そう呼称しております」
「ああ、成る程。ごめんなさい。話を続けて下さい」
その言葉に、説明を中断していた青年が、その頭を小さく頷かせる。
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