第四章

14/20
前へ
/568ページ
次へ
  「今の世を生きる貴様は、真実を知らぬだろうが、嘗てのこの王城の住人達などは、それはもう『敵ながら見事』と言わざるを得ない程に奮戦したのだ」  そう告げて、青年は腕を組む。その顔は、何処か物憂げだ。 「人も、魔物も、当初は互いに未知の存在であったが、その力の差は歴然だった。侵攻した魔物の中には、知性は無くとも法術を使用出来る者も一定数存在したのだからな。だと言うのに、この城の連中は怯むこともなく、見事な剣撃で幾多の魔物達を屠り、城内へと逃げ込んだか弱き同胞達を護っていた」  今度は神妙な面持ちで、青年は更に続ける。 「人間は、魔物と比較にならぬ程に、脆弱なる生き物だ。しかし、この城の者達は、体が動く限り、そして心が折れぬ限り、必死に闘い、抗い続けた。その計り知れぬ強さを、知性を持った魔物達は恐れたのだ。そして、我が能力を求めた。諦めの悪さだけではどうにもならぬ、絶対的な強さをな」  
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加