第四章

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   とどのつまり、氏に致命傷を負わせたのは、彼ではない別の魔物ということになる。恐らくは、この城から故郷の街へと戻るその道中で、他の魔物からの襲撃を受けたのだろう。  とすれば、やはり気になるのは、法術士ラダムントは何故この青年を魔物の王などと呼称したのか、ということだ。  彼が他の魔物に『絶対』の能力を付与しているという事実が、それ程迄に……。 「……!」  唐突に気付いたアイリスが、その澄み切った目を大きく見開く。その様子に、魔王たる青年がその口許をニィ、と歪ませた。 「気が付いたようだな。では、改めて告げよう」  腰掛けていたベッドから立ち上がり、青年はアイリスの瞳を真っ直ぐに見据える。 「『一部の知性有る魔物達に付与している我が能力を解除する』。それが、貴様を愛玩動物として迎える代わりに、我が貴様に提示する『誓い』である」  
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