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数秒の間、黙したままに思考を巡らせたアイリスは、唐突にふっ、と小さな笑い声を溢す。
「……いいでしょう。それでこの世界に住まう多くの人々の命が救われると言うのなら、私は喜んでこの身と忠誠を貴方に捧げましょう」
その言葉に、少しだけ驚いたような顔を見せた青年は、直後に満面の笑みを浮かべ、『やったぞ』とでも言いたげな顔で使用人の方を見遣る。
一方の使用人は、やはり表情の無いその顔を一度だけ頷かせた後、アイリスに向かって丁寧にお辞儀をした。
「主の愛玩動物となられたからには、私も丁重に御世話させて頂きます。宜しく御願い致します、アイリス様」
「む。使用人よ。我より先に我が愛玩動物の癒しを受けることは許さんぞ」
「あ、やはり『従者』ではなく、『愛玩動物』という扱いなのね」
呆れたようにそう溢すアイリスの顔は、何処か愉しそうだった。
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