第一章

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   ある時、魔物に支配された地域に程近い、とある街に住む一人の壮年の法術士が、闇に閉ざされた世界へと旅立った。この『プセウド=エリューシオ』と、魔物達の住まう異世界とを繋いでいると思われる『孔』を塞ぐ手段を探るためである。  彼は旅立った数日の後に、瀕死の重症を負った状態で故郷の街へと帰還し、そして息絶えた。絶命する寸前、彼はこんな言葉を口にしたという。  『闇に閉ざされた王国の城郭に、魔物の王を見た』。  『未知なる魔王』の存在は、瞬く間にプセウド=エリューシオの各国へと伝えられた。  エリュシオン帝国を含む一部の国は、各地より剣術や法術などの戦闘技術の才に恵まれた者を召集し、魔王を討伐する可能性を持つ者ーー即ち、『勇者』の育成を始めた。  
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