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ぼくは怖かった。
ねえさんは、いけないことをしているんじゃないかって。
それは、ほかの国では許されることなんだろうけれど、そのときのこの国では、それはやってはいけないことだったんじゃないだろうか。
もちろん、今のこの国では、完全にやってはいけないことになっているから、まさかとは思ったけど、ねえさん、今もぼく以外の子どもを見つけてきて、同じようなことをやってしまっていたなんて。
ぼくは、あの事件のことを知り、そして、こっそりとねえさんが愛読していた童話のはしがきにしのばせていたねえさん自身のはしがきを見つけたときに、ほんとはよくないことってわかっているけど、思わずねえさんらしい、って、妙に納得してしまったんだよね。
そして、ねえさんをぼくのもとから連れていってしまったあの人も、やっぱりねえさんと同じような感覚の中に生きている人だと思ったんだ。
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