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すぐにでも逃げ出したい気分であったが、帰りぐらいはヨッチとミカと連れ立たねば。じりじりと逸る気持ちを抑え、キヨミは教科書に顔を隠すようにして、出入り口付近で親友たちを待つ。と。
「…………?」
ドラマの行方、先輩の悪口、給食の献立等々、おなじみの話題を引き連れながらぞろぞろと出てくるクラスメイト。教科書の隙間から彼らを覗き見しながら、その様子に、キヨミは眉をひそめた。
「先に出てたんだ」
「おまたせー、キヨ」
二人の言葉に、しかしキヨミは眉間を緩められない。彼女らの頭一つ分高い目線を見上げ、そして辿るように視線を足元まで下ろして尋ねる。さり気なく、教科書で前頭部を隠しながら。
「……なに、それ?」
空いている手で足元を指差す。二人は――いや、先ほどから出てくるクラスメイトのほとんどが――、なぜかつま先立ちで歩いていた。
「さっきの授業中に回ってきた話なんだけど、こうしてると背が高くなるんだってさ」
「キヨもやってみー。あんたちっさいからー」
思う。やっぱり宗谷サキは異星人だ。キヨミは断定した。
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