第2話 HR

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 クールな話題――それはコイバナに決まっている。『タカシナ先輩』は目下、ヨッチの想い人だった。  答えると、二人はアリバイが立証された容疑者を見る刑事のように胡乱な目付きをした。すなわち、ツッコミどころ満載、あやしさ満点、満場一致で余罪追及的な。  キヨミが内心、狼狽しまくったその時。 「グッモーニング、エブリバディ、ハーワーユー!?」  ガラリと戸が開き、ハイテンションな声が響く。  三十台前半、当校では比較的若い部類に入る英語教師――担任の星野だった。まあまあハンサムで、なんとかという俳優に似ているらしく(芸能人にとんと疎いキヨミにはよくわからない)、生徒受けは良い。キヨミ自身は、この自信家で要領の良さそうな担任教師とはソリが合わないと一学期から思っていたが、今はその間抜け面も救世主のように見えた。  キヨミとミカ含め、生徒全員が一斉に蜘蛛の子を散らしたように席に戻る。  グッドタイミング、グッジョブ! キヨミは移動しながら心中、快哉を叫んだ。いつもなら口パクで無視するが、今ならアーイムファイーンと返してやるのだってやぶさかじゃない。     
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