第2話 HR

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 その思考がダダ漏れしたのか、思わず笑みがこぼれた。ふいに星野と目が合う。休日はスポーツやっています的な浅黒い肌に、それとは対照的な真っ白い歯のコントラスト。慌てて頬を引き締めたが、恐らく見られてしまっただろう。恥ずかしさに、頭に血が上る。星野は一寸訝るような顔をしたが、何も言わず、出席を取り始めた。  インフルエンザの予防接種、学年度末テストの日程、部活終了時刻の諸注意など、朝のホームルームは星野のアメリカン・ジョーク――微妙に笑えない薄味の――を交え、つつがなく進行した。 「今日は教室のワックス掛けをするから、掃除当番は放課後、着替えて集合すること。アーユーオーケー?」  星野がそう告げると同時に、一限目の本鈴が鳴った。
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