第5話 清掃・前半戦

1/8
116人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ

第5話 清掃・前半戦

 午後三時過ぎに授業が終了すれば、あとは清掃、部活動という流れになる。清掃は当番制になっており、今週はキヨミの班の割り当てだった。  朝、担任の星野が話していたように、今日は半年に一度のワックス掛けがある。学期最後の大掃除に行なうのが慣例だが、来週、教育委員会が視察に来るため、前倒しにしたのだろう。  ワックス掛けにしろ、部活動にしろ、ジャージに着替えねばならない。憂鬱な気分を引きずりながらも、更衣室へ行こうと、ヨッチとミカを誘おうとして―― 「ヨッチ!」  よく通るその声は、しかしキヨミが発したものではなかった。  声と共にツカツカと教室に入り込んできたのは、隣のクラスの女子だった。確か、橋本といったか。下の名前は知らない。キヨミはそれほど他人興味を持たず、名前を覚えるのも苦手だった。     
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!