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誰にでも隠しごとの一つくらいあるだろう。
どんなに大切な相手にでも言えないことはある。俺はそのことをよく知っていた。
「ごめん、言えないんだ」
だから幼馴染の有紗がなにか隠していることを知っても無理に問いただそうとはしなかった。
「いいよ、俺も有紗に言ってないことあるし」
「ほんと?優くんも?」
「うん、だからおあいこ」
学校の帰り道。夕暮れ時に笑いあった。
その日の太陽はやけに赤くて、俺たちを毒々しく染め上げていたけど、俺たちの会話は穏やかだった。
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