10952人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「彼女にもわかってるんだ。はぁー、もうここにも来れないなぁ。彼女に嫌な思いさせたいわけじゃないし。私は、どうこうなりたいわけじゃなかったんだけど……」
本当に、そこまで考えていなかった。そして、自分の恋とも呼べないような幼稚な感情が、彼女を嫌な気持ちにさせていたとしたら申し訳なさすぎる。
私は、このまま……この気持ちを封印することに決めた。思ったほど辛くなかったのは、この気持ちがまだ幼く成長していなかった他に、佳子ちゃんとは比べものにならない気持ちだろうと……そう思ったからだ。
彼女は一人の人と長く向き合って、その気持ちを終わらせようとしているのだ。佳子ちゃんは、もうすでに前を向き始めていた。
「うん、強がりかもしれないけれど……他の癒しを見つけたい。佳子ちゃん、見習わないとね。あと、みんなにもこの素敵なお店、教えたかったのよね」
……今日は何だかいつもより、酔う気がした。アルコール度数が高いのかしら。
「お酒入った麗佳さんは何だか直視できないんです! 人に晒したくない。もったいなくて! 」
もったいない?みっともないじゃなくて?言葉の意味はわからなかった。だけれど、酔うのはやめておいた方が良さそうだということだけ、わかった。
「何で彼氏できないんだろ! 」
「ほんと、それ! 」
「うまく……いかない。いつも……」
「わ、わかりますぅ! 」
思わず愚痴ったら、るなちゃんが同意してくれた。
「断ってるからでしょう? 」
佳子ちゃんの言葉にドキッとする。
「問題は……自分にあるのかも」
「同じく……」
「私は背も高いし、相手の男性が気にするのよ。並ぶのに。すぐに足元に目を落として、ヒール履いてるか確認される。裸足だと、自分の方が背高いか無意識にチェック。そんなとこ気にするちっちゃい男ばっかで、背より、そのちっちゃい中身が嫌」
私は断っては、いない。最初の誘いに乗っただけ。でも、ずーっと振られた気分だけ味わされる!きっと、るなちゃんは本当に振る方なんだろうけど……。
最初のコメントを投稿しよう!