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「気のせい……と言うか考えすぎじゃない? 一歩引かれてるのは、心理面じゃなくて、あれ……あれのせいでしょ? 」
「奥さんへの忠誠? 他の女性との距離感は」
「え? 奥さん? 」
二人共、なぜ知らないのかしら……。
「指輪……してるでしょ。彼」
「何で知らないんですか、麗佳さーん」
るなちゃんが呆れたようにため息をつく。……え?
「結婚……してるのよね? 」
「あの指輪、女性避けなのよ」
佳子ちゃんが教えてくれた。
「え!? 独身なの!? 」
「うん、それどころか彼女もいないっていうか……できないはず」
「え? どうして? 女性避けって……そこまでモテるんだろうけど……逆に嫌みだわ。自惚れすぎじゃない? 」
「確かに、モテるんだろうね。私も詳しく知らないんだけど……女性に近寄られるのが生理的に無理みたい」
「そうなんだ。知らなかった……ずっと結婚してると思ってた……」
それを聞いて、自分がいかに彼に感心を向けて来なかったのかがわかった。
ダメだな……私のこういう所も。ただ、それを聞いて、胸の中に安堵のような……何かしら……ずっと刺さったままだった刺が抜けたような気がした。
……とにかく、年内は彼との同行も多い。変なわだかまりは少ない方がいい。
彼に対しても、苦手意識を払拭する努力をしてみようと思った。仕事以外で、じっくり話せて、今日はとても楽しかった。癒しはなくなってしまったけれど……。
「あぁ、またなーーーんも、なくなっちゃったな」
元々、ないに等しかったのに。今や佳子ちゃんも入れて……3人共にフリーだ。
「でも、やっぱり女子会最高ですね! 」
「うん、楽しかった! 」
「うん、おかげでスッキリした。彼の事も、ナナメに見てた吉良くんの事も! 」
最後に、少しだけ辻野さんに目をやった。
「こりゃ、定期開催しますか! 次は進捗、期待してますよ、皆さん! 」
るなちゃんの〆の言葉に同意して、帰路についた。
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