第5話 side reika

5/5
10952人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「気のせい……と言うか考えすぎじゃない? 一歩引かれてるのは、心理面じゃなくて、あれ……あれのせいでしょ? 」 「奥さんへの忠誠? 他の女性との距離感は」 「え? 奥さん? 」 二人共、なぜ知らないのかしら……。 「指輪……してるでしょ。彼」 「何で知らないんですか、麗佳さーん」 るなちゃんが呆れたようにため息をつく。……え? 「結婚……してるのよね? 」 「あの指輪、女性避けなのよ」 佳子ちゃんが教えてくれた。 「え!? 独身なの!? 」 「うん、それどころか彼女もいないっていうか……できないはず」 「え? どうして? 女性避けって……そこまでモテるんだろうけど……逆に嫌みだわ。自惚れすぎじゃない? 」 「確かに、モテるんだろうね。私も詳しく知らないんだけど……女性に近寄られるのが生理的に無理みたい」 「そうなんだ。知らなかった……ずっと結婚してると思ってた……」 それを聞いて、自分がいかに彼に感心を向けて来なかったのかがわかった。 ダメだな……私のこういう所も。ただ、それを聞いて、胸の中に安堵のような……何かしら……ずっと刺さったままだった刺が抜けたような気がした。 ……とにかく、年内は彼との同行も多い。変なわだかまりは少ない方がいい。 彼に対しても、苦手意識を払拭する努力をしてみようと思った。仕事以外で、じっくり話せて、今日はとても楽しかった。癒しはなくなってしまったけれど……。 「あぁ、またなーーーんも、なくなっちゃったな」 元々、ないに等しかったのに。今や佳子ちゃんも入れて……3人共にフリーだ。 「でも、やっぱり女子会最高ですね! 」 「うん、楽しかった! 」 「うん、おかげでスッキリした。彼の事も、ナナメに見てた吉良くんの事も! 」 最後に、少しだけ辻野さんに目をやった。 「こりゃ、定期開催しますか! 次は進捗、期待してますよ、皆さん! 」 るなちゃんの〆の言葉に同意して、帰路についた。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!