第50話 side reika

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もう、答えはあった。きっと、そうなんだと。 触れた指先から移る熱も『触りたいか』そう言った彼も。『終わったら話を聞いて』そう言った彼も。過去の傷を終わらせる為に、彼は過去と向き合っていた。それが、何の為で、誰の為であるか……。 だとしたら、私はまだ彼に話さなければいけないことが、ある。それは、“誤解”ではないけれど。 話そう。あの日、俊之さんと泊まったことも。彼は聞いてくれると思うから。馬鹿な、私の話を。傷つけたのは、彼ではなく、私の方だった。あれほど沢山の人がアドバイスをくれていたのに。そして、今ならわかる。あのアドバイスの意味が。頑張るって決めた。あと、少しだけ。 全てのわだかまり、誤解、すれ違い。全てが解決したら…… 解決しても、私は彼と恋人にはなれないかもしれない。彼は許してくれないかもしれない。 だとしても。だとしても、そこからは、前向きに、逃げ道ではない誰かを探せると思うから。 今年は頑張るって決めた。動くって。恋人を作るって。
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