第52話 side reika

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テーブルに向かい合って座ると 「今日は、さっさと食べて。酒もなし」 彼の左手と絡めていた、私の右手は離され、代わりにテーブルの下で、左手と左手を繋いだ。 たまたま通りかかったイタリアンの店。空席が見えるとすぐに入った。 「うーん……ペペロンチーノは臭いかしら」 そう言った私に彼が 「何でもいい。好きなの食べて」 「そうする。ガーリックたっぷりのやつ」 片手……食べにくい。 「それ、一口」 言われるがまま、フォークで一口大に巻いたパスタを彼の口に入れた。 ……こ、これ……やってみたかった…… 「はい、こっちも」 そう言われ、口を開ける。思った以上に恥ずかしい。いい年だったわ、私。対象年齢が、合わない。この、テーブルの下で繋いだ手も。 「これで、お互い様。さ、いこっか」 ああ、ガーリックか。なるほど、その手があったわね。 それからまた、右手を左手に変えて歩いた。途中、何度か顔を見られ、その度に彼が微笑む。ただ、微笑む度に立ち止まる。そんな彼に心臓が……飛び出るかと…… 電車でも繋いだままの手に物凄く恥ずかしい。立ち上がった彼に続いて下車する。 ……あれ……ここ。 「私の家じゃないの? 」 「あー、ちょっと取りに行きたいもんあるから。いい? 」 「ええ」 彼の家に着くと、玄関でしばらく待った。 「スーツ、着替えていい? 」 「ええ、どうぞ」 「入って、ソファーにでも座ってて」 そう言われるままに、おじゃまして腰かける。懐かしい。また入れる日が来るなんて。 ふと、目を落とした先に、絵?前は壁に飾ってあって、その絵は見覚えのある……景色だった。
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