第53話 side kira

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先ずは、食事だな。たまたま通りかかったイタリアン。空席がある。直ぐに済ませれるなら、何でもいい。 仕方なく手を離すと、テーブルの下でまた手を繋ぐ。お互い利き手じゃないほう。おかしいけど、構わない。 食事を終えるとまた、手を変えて繋ぐ。絡ませた手が気持ちいい。何も話さない彼女の顔を、時折伺うように見る。 その度に恥ずかしそうに、少し赤くなるのがたまらない。 先に俺の家に寄る。着替えて、泊まる準備を持ってソファーに座る彼女の元へ。 「おまたせ」 「ねぇ、これって……あなたが? 」 彼女の視線を辿る。彼女が、その絵を見てバッグからスマホを取り出すと、画像を開いた。 いつか……二人で見たあの景色。この絵の場所だ。その画像を覗きこんだ。細かい街並みはやっぱり、覚えてない。比べると、結構違う。 手を伸ばし、後ろに置いてたスケッチブックを手に取ると渡した。麗佳は不思議そうに、受けとって開いた。 自分の描かれた絵を見て、戸惑う彼女に 気づけば、キスしてた。 あ……。まあ、いっか。家だし。二人っきりだし。綺麗な目を見開いて、そのままの彼女に 「行こう、麗佳んち。まだ、話出来てない」 突然のキスに抗議する彼女に、これは俺が悪いのか?こんな、可愛い麗佳が悪いんじゃない? 全部の指を絡め、繋いだ手が好きだって言ってる。俺を。
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