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再び大きなため息を吐いた。
「あ、でも女性はそれでいいとして、男性は何て言うのかしら……」
セカンドDTだよ。知らなくてよろしい、そんな言葉。
「お願い。もう、黙って? 」
すっかり、台無しだ。
「ええ、分かったわ。最後に一つだけ……いい? 」
まだ、あんのか。軽いため息の後
「どうぞ」
そう言うと同時に、はだけた姿で抱き付いてくる。そして……
「……大好き」
俺の耳元でそう言った。
うわぁ。とんでもない幸せが胸に広がる。俯く俺の顔を覗きこんで、そっとキスをくれる。
「完敗だわ」
この人に、勝てる気がしない。ずっと、きっと、振り回させるだろう。
「上手く出来るか分かんないけど、頑張ります」
仕切り直しで、押し倒す。中途半端なままの服を……脱がせないとね。俺は自分で脱いでいいのか?やってみたいか?まあ、聞いたら、時間かかりそうだりそうだから自分で脱ぐ。
それにしても、綺麗だな。こんなに綺麗モノが見られるなら恥くらい、晒してもいいか。
そう、思った。
「あ、そうだ……」
また、喋りだした彼女にうんざりしながら手を止めた。
「何……」
「お風呂……」
後でよくねぇ?汗かくし。どうせ。 戻ってきた彼女に、何度目か分からない仕切り直しのキスをする。
「……一緒に……入る? 」
ああ、入ってみたいのか?
「あ、でも、恥ずかしいかな。やっぱり……洗ってる間とか」
「努力、してるんでしょ? 」
「……期待させて悪いんだけど……」
申し訳なさそうに彼女が言う。
「腹筋は、割れてないの」
……いや、期待してない。そこ。むしろ、俺も微妙。
その、腹筋あたりにキスする。身をよじる彼女に
「そのままで十分です」
そう言った。俺も、努力しよ。長い髪を結い上げ、身体を隠すように風呂へと向かう。所作一つ一つに、妖艶な色気。軽く微笑みを湛えた表情に、我慢など出来るわけもない。繋いでは、離す。離しては、また繋ぐ。絡めた手から、触れた所から、全てが溢れ出す。
もしかしたら、この手は彼女に触れる為にあるんじゃないかと、思う程に。
乾かすのも待てずに急ぐ俺に
「ほら、ちゃんと拭いて」
そう言って頭をごしごしと拭かれる。
その間も、隙さえあれば口付ける。あちこち……に。逸る気持ちに、早くなる鼓動。待ちきれず、バスタオルを取り上げた。あれだな、もうDTみたいだな。
いや……緊張しすぎるとよくないな。繊細だから、俺。まあ、ダメでもそんな俺も受け入れてくれるか。……彼女なら。
「ヤダもう、そんなに慌てないで」
「ガッついちゃうよね、そりゃ」
半分ふざけて、半分本気でそう言いながら彼女をベッドまで運んだ。
電気も付けない、その部屋へ。
「ふふ、童貞みたい」
……はい?知ってるのかよ。その言葉……。
つーか……DT相手したことあんのかよ。もうヤダ。この人。また、脱力。
「勃たなかったらごめんね」
下品な言葉に下品な言葉を返した。
「うん、頑張ります」
……なぜか、小さくガッツポーズをつくると、彼女がそう言った。
頑張って、貰おう……か……。うーん、いいな。年上。
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