第53話 side kira

5/5
前へ
/328ページ
次へ
──肘を枕に、彼女を見下ろす。未だゆるく微笑んだ彼女と手を繋ぐ。 「なあに? 」 そう言った彼女に軽くキスを落とす。 「もう一回? 」 ……そんなつもりでもなかったけど、そんなつもりになってきたので……そのままキスを深めた。 朝起きたら、つらつらと感想とか言われそうだな~。つーっと俺の腹を指でなぞる。くすぐったくて身をよじる。 「マルバツゲーム」 「止めて下さい」 「ふふっ」 幸せそうに笑う。また指でなぞろうとする彼女の手を止めて、指を絡めた。 「ねぇ」 喋べるなよ……。 「本当に好きな人に、触れられるのって格別ね」 綺麗な顔でそう言った。まさか、最中に感想言われるとは思ってなかったけど。 「うん、そうだな」 幸せが溢れる。彼女を強く抱き締めて 「さ、集中。もう、黙って」 格別。そう言えば結城(あいつ)も言ってたな。初めてあいつに共感する。 これを知ると、もうどうでも良くなる。彼女さえ、麗佳さえ触れたら、それでいいとそう思う程に。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11007人が本棚に入れています
本棚に追加