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第54話 side reika
彼が私の方に身体を向け、優しく微笑む。手は緩く繋がれたまま。
外れなくなったわけではないけれど……どちらともなく、離しては、また繋ぐ。
あまりにも見られてるもので、恥ずかしいけれど、心地よい。直ぐに、キスを落とされる。
まだ足りないのかしら。……ごく自然に入ってくる彼の舌に、もう大丈夫なのだろうと、確信する。
ダストボックスも、必要ない。少し上体を起こした彼の腹筋に、指で触れた。中の筋肉の形が綺麗にわかる。シックスパック。くすぐったいのか、彼が身をよじる。触れてもいい、幸せ。
再び、その手は彼の手捕らえられ、指を絡められた。
幸せ……。なんて、その一言で済まないくらい。胸の内側から何かがどんどん湧いてくる。
「本当に好きな人に、触れられるのって……格別ね」
「うん、そうだな」
彼もそう思ってくれているのか、お互いの肌と肌を余すとこなく密着させるように抱き締められる。
「さ、集中。もう、黙って」
そう言われ、そっと目を閉じた。そのまま全身で彼を感じた。大きくなりすぎた、この気持ちを全部ぶつけても、彼は受け入れてくれる。それが、こんなにも幸せな事だと、今まで……知らなかった。
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