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まだボーッとしながらも彼は席につくと、丁寧に手を合わせた。
「頂きます」
「……どうぞ」
そっと、彼の方を見ると、目が合った。いつものように、ニッと笑う。それから
「いい朝だね」
そう言った。そう言っただけなのに、顔が熱く熱くなった。
「ご馳走様でした」
食事が終わると、また丁寧に手を合わせ彼はそう言った。洗い物をする私の真後ろに立つと
「そう言えばさぁ、この前の髪型、好き」
「そうなの? じゃあ、また……する」
「うん」
「ちょっと、向こうへ行ってくれない? 」
「あー、でも俺……今、忙しいんだ」
「何もしてないように、見えるけれど」
「触ってる」
……うん、まぁ……そうね。早く終わらせよう。私が手を拭くのを待って手を繋ぎ、抱き合い、キスをする。
その日はほぼ、そう過ごした。違う、その日からほぼ。だった。
「今日は、どうする? 」
そう聞いた彼に
「今日は吉良くんの家に泊まりたい! 」
即答してしまった。彼氏の家。そこでもまた、色々……“してみたい”
「この服とか……ここ置いといていい? 」
服を着替えて、脱いだ方の服を指して彼が言った。また、顔が緩む。
「ええ、もちろん。洗っておくわね」
「麗佳も、用意して。何着か」
また、顔が緩む。もう、引き締まる時間がないのだろうかと、思うくらい。
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